あぁぁぁっ くそっ!…
ここは美容コンテスト会場
俺は友達の美容師に頼まれてコンテストのモデルになったんだ。
かなり大きな大会みたいでカマキリみたいに細いヘンテコな格好をしたミュージシャンもどきの審査員やなんとか美容学校の理事長なんかが来ている
おまけに最優秀賞には何と100マン円の賞金もでるらしい。
みんながそれぞれこの大会に向けて練習してきたみたいた。
俺の友達の金子は昔っから器用で高校生の頃は仲間の髪の毛を切ってくれてたんだ。
それがまたバランス感覚がウマいんで妙に似合ってるんだよな
やっぱり才能ってあるんだよね!
時はすぎ 俺は大学7年生 いいかげんに卒業しなきゃって思ってるんだけど、やりたい職業ないし手先不器用だしね… 俺なんか雇ってくれるところなんてないし
おまけに根っからの怠けもの!バイトなんかも面倒で続かないし金がないんで髪は伸び放題 普段キャップ被ってるから なんとか納まっている感じかな〜しかし限界!
今日あたり100均でかったハサミで髪の毛切ろうかなって思ってて、街中を歩いていると美容室のビラをもらったんだ。
しかし俺…最近ちょっと薄くなっちゃって かっこいい美容室なんていけるわけないし
そ、そりゃぁ可愛い女の店員さんやイケメンの店員さんと同等に話してみたいさ
しかし俺は自分のレベルって言うかさ わかってんだ。
高望みなんてしちゃいけないってね!
毛虫は毛虫だ…あ!俺は毛がないから 芋虫だw
でもねそのビラに載っているイケメン どっかで見たことある奴でさ
同級生の金子だったんだよ
それから恥ずかしかったんだけど、懐かしさと嬉しさでね、場違いだって思ったんだけど その美容室へ遊びに行ったんだ。
会ったとき嬉しかったな〜 金子も覚えててくれたみたいで気軽に話してくれている。
俺のキャップから出ているロングヘアーを見た金子は俺にコンテストのモデルやらないか?って言うんだ。
もちろん断わったよ!そんな俺なんかが出れるわけないし
でもね 奴の熱心な誘いに俺も折れたわけ あいつがそんなに言うのなら俺も男だ
がっつりいってくれ!ってね♪
そして冒頭の今日なのだが キャップを取った頭を初めて見た彼は絶句していた
しかし何とか形を作ろうと逆毛をたてたり、してるんだけど逆毛たてる髪の量なんて無いし
めちゃくちゃ困ってる!
俺はとりあえず謝るしかないし 奴はクソッ!クソッ!ばかりだし…
そして残り時間も少なくなったとき ごめんと彼は一言いって俺に丸めた新聞紙を乗せたんだ。
そして襟足付近の長い髪の毛を上で結び
黒柳てつこより立派な玉ねぎが出来上がった。
そのあとスタイリストとモデルとステージにたち 髪の毛のタイトルを発表するんだけど、奴が口にしたタイトルは未知なる「未確認生物の卵」だった。
俺はやつに頼まれた怪獣のマネをして白目を剥きながらギャォギャォと観客席に向かって威嚇していた。
もう二度と呼ばれることはないであろう この会場に深く一礼して去った。
帰りの電車で頭をぶつけ髪を解いていないことに気づき
電車の中でもギャォギャォ!と威嚇した俺がいた。