あー。
昔、哺乳瓶作ってるメーカに工場見学いったんです。
哺乳瓶って大きく分けると瓶と吸い口の二つのパーツからできてるんだけど、吸い口って作るのが難しいそうだ。
ゴムを空気で膨らまして形成したあと、小さな針で先を突くことで微細な穴を開けることができるらしい。
その微細な穴のおかげで普段は中身が漏れない吸い口ができるそうだ。
話によるとこの製造工程は特許にもなってるらしい。
膨らまして穴を開ける。膨らまして穴を開ける。「ヒュー、ポン、ヒュー、ポン・・・」
製造工程の特徴的な音は今でも印象に残ってる。
でだ、ここからが本題だがこのメーカーはゴムを使った衛生品としてコンドームの製造にも乗り出している。
普段は外部に公開しないらしいのだが、コンドームがどのようにして作られるのか非常に興味があったので頼み込んでちょっとだけ見学させてもらうことにした。
ここのコンドームは薄いゴムの膜を作るために空気で一度膨らませていることが特徴らしい。
工場の人が解説してくれたように「ヒュー、ヒュー、ヒュー、・・・」という音が聞こえてくる。
ところが、ほんのたまにだが「ポン」とはじける音がするのだ。
不安そうな僕の表情に気づいた工場の人はにっこり微笑みながらこう答えた。
「こうした方が哺乳瓶がよく売れるんだよ。」